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(published date : 2011年5月1日)
事業仕分けをめぐってある議員が発言した「世界一」の議論は 世論を巻き込んで今や科学技術における「世界一」が重要であることを世間に認知させる効果があったように思われる しかし実際には 研究の世界でもスポーツの世界でも一番になるのは非常に難しい 一方 嬉しいことに我が国が統計上世界一となっていることがひとつある 平均寿命である 2010年のWHOの統計によると 日本人の平均寿命は83歳で世界一 女性の平均寿命は86歳で24年連続の世界一 男性は79歳で世界第4位 厚生労働省の資料によると 終戦後の1947年の平均寿命は男性が50歳 女性が54歳であるので 約30歳も寿命が延びたことになる 日本の風土 食生活など 様々な要因が考えられるが 食生活の欧米化にもかかわらず 平均寿命が延び続けていることを考えると やはり一番の要因は充実した医療にあると思われる 特に結核などの感染症で命を落とす人は激減した これは抗生物質開発の賜物であり 抗生物質が20世紀の最大の発見のひとつに数えられるゆえんでもある