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(published date : 2014年5月1日)
トランスファーRNA(tRNA)は,mRNA上のコドンで指定されたアミノ酸をリボソームへと運搬する低分子RNAである.クローバーリーフ状の特徴的な二次構造をもち,これが折り畳まれてコンパクトなL字型構造を形成する.このL字構造の両末端に,アミノ酸と結合するアクセプターステムおよびアンチコドンループが位置する.アンチコドンループは,tRNAの機能上,極めて重要である反面,外部へ露出しているためヌクレアーゼによる分解を受けやすい.このtRNAの“アキレス腱”とも言えるアンチコドンループを標的としたリボヌクレアーゼが見つかってきた.本稿では,これらの紹介を通して,tRNAを切断することの生物学的意義について議論したい.