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(published date : 2019年5月1日)
嚥下困難者用介護食としては,①べたつきにくく,②口腔内や咽頭部でまとまりやすいものが適するとされ,ゲル化剤や増粘剤を添加したものが多い.“べたつき”や“まとまりやすさ”はよく,TPA(Texture Profile Analysis)から求められる付着性や凝集性で評価される.われわれは以前,本誌に「高齢者が誤嚥しにくい介護食の物性」というタイトルの総説を寄稿した(1).そこでは,食品の力学物性と咽頭部の食塊の流動性の関係を概説し,TPA, 特に凝集性の問題点について物理的視点から考察した.今回は,その後得られた知見も踏まえ,食品の“まとまりやすさ”,嚥下困難者が誤嚥しにくい食品の力学物性について論じる.