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(published date : 2012年4月1日)
カブトガニは,分類学的には節足動物門,節口綱,剣尾目に属し,エビ・カニよりもクモに近縁である.現存種は,北アメリカ東岸のLimulus polyphemus,アジア東南海域沿岸のTachypleus tridentatus, T. gigas, Carcinoscorpius rotundicaudaの4種であり,博多湾にはT. tridentatusが生息する.中生代化石種の外部形態が現存種とよく似ているため,「生きた化石」と呼ばれるが,分子進化学的に化石化しているわけではない.T. tridentatusは受精卵の中で4回脱皮し,孵化後は15年をかけて18回の脱皮を繰り返して成熟する.その体液は,ごく微量のグラム陰性菌に反応して凝固する性質がある.無菌的に採取すると,殺傷することなく1個体あたり100~200 mlの体液を得ることができる.