化学と生物 Vol.50 (2012) No.10
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巻頭言
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Page. 699 - 699
(published date : 2012年10月1日)
冒頭文
リファレンス
この原稿はリオ+20が終了した直後に書いています.今回の会議では「グリーン経済」の理念は呈示されたものの,先進国と途上国との思惑の違いから,具体的な目標などを決めることはできなかったようです.そこでふと思い出し,+20の語源となった1992年のリオ環境サミットでの,当時12歳の少女,セヴァン・スズキさんの「伝説のスピーチ」をネットで聞き直してみました.“If you don't know how to fix it, please stop breaking it !” という彼女の願いに対して,私たちはこの20年間何をしてきたのだろうかと改めて考えさせられてしまいました.直せないもの,直し方がわからないものを壊さないようにするというのは当然なことです.折しも,わが国では原発事故からまだ1年半足らずのうちに,大飯原発の再稼働が始まりました.核燃料廃棄物のリサイクルができない,いやそれのみならず安全に廃棄・管理する手段・場所が確保されていないという状況の中で,原発エネルギーに依存し続けていくのか否かについて中長期的視点から真剣に議論されることを望むものです.私自身も,原発については安全なものだと思い込んでいました.そのように多くの国民を信じ込ませてきたのはいわゆる「原子力ムラ」の力が大きかったそうですが,専門分野が全く異なるとはいえ,科学に携わってきたものの一人として,今は自分の不明を恥じながらホットスポットが点在する茨城県南部で日々を送っています.
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今日の話題
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Page. 700 - 701
(published date : 2012年10月1日)
概要原稿
リファレンス
ビタミンEにはトコフェロールとトコトリエノールがありトコトリエノールは側鎖に3つの二重結合をもつタイプのビタミンEである(図1).クロマン環の構造の違いによって,さらにそれぞれのα-, β-, γ-, δ-体が天然に存在する.私たちが日常摂取しているビタミンEは,α-トコフェロールと γ-トコフェロールが大部分である.トコトリエノールは米ぬか油とパーム油以外にはほとんど含まれないため,その摂取量はトコフェロールに比べて圧倒的に少ない.
- 1) 日本ビタミン学会編:“ビタミン総合事典”,朝倉書店,2010, p. 84.
- 2) A. Hosomi, M. Arita, Y. Sato, C. Kiyose, T. Ueda, O. Igarashi, H. Arai & K. Inoue : FEBS Lett., 409, 105 (1997).
- 3) A. A. Qureshi, W. C. Burger, D. M. Peterson & C. E. Elson : J. Biol. Chem., 261, 10544 (1986).
- 4) A. A. Qureshi, W. A. Salser, R. Parmar & E. E. Emeson : J. Nutr., 131, 2606 (2001).
- 5) K. Nesaretnam : Cancer Lett., 269, 388 (2008).
- 6) T. Miyazawa, A. Shibata, P. Sookwong, Y. Kawakami, T. Eitsuka, A. Asai, S, Oikawa & K. Nakagawa : J. Nutr. Biochem., 20, 79 (2009).
- 7) C. K. Sen, C. Rink & S. Khanna : J. Am. Coll. Nutr., 29, 314S (2010).
- 8) S. Ikeda, K. Toyoshima & K. Yamashita : J. Nutr., 131, 2892 (2001).
- 9) T. Uchida, C. Abe, S. Nomura, T. Ichikawa & S. Ikeda : Lipids, 47, 129 (2012).
- 10) C. Abe, T. Uchida, M. Ohta, T. Ichikawa, K. Yamashita & S. Ikeda : Lipids, 42, 637 (2007).
- 11) S. Ikeda, T. Uchida, T. Ichikawa, T. Watanabe, Y. Uekaji, D. Nakata, K. Terao & T. Yano : Biosci. Biotechnol. Biochem., 74, 1452 (2010).
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Page. 702 - 703
(published date : 2012年10月1日)
概要原稿
リファレンス
キチンは地球上でセルロースに次ぐ生産量を占めるバイオマス資源である.キチンの分解産物であるグルコサミンには関節痛改善や美肌効果といった優れた特性が見いだされており,近年食品や医薬品といった幅広い分野に用いられている.ゆえに,カニやエビの大量投棄されている甲殻を構成する結晶性キチンを効率よく分解できるキチン分解酵素を発見・開発できればキチン系バイオマスの有効利用に役立つと考えられる.自然界に存在するさまざまな微生物の未利用遺伝子の中で,100℃近い高温環境で生育できる超好熱菌由来の酵素はたいへん高い安定性を有し,産業用酵素としての可能性を秘めている.しかしながら超好熱菌由来のキチン分解酵素群に関する報告は,田中らによる超好熱菌Thermococcus kodakaraensisの遺伝子および酵素学的性質に関する報告のみであった(1).ここでは,超好熱菌由来のキチン分解酵素について,最近の知見を紹介する.
- 1) T. Tanaka et al. : J. Biol. Chem., 279, 30021 (2004).
- 2) T. Nakamura et al. : Acta Crystallogr. Sect. F, 61, 476 (2005).
- 3) T. Oku & K. Ishikawa : Biosci. Biotechnol. Biochem., 70, 1696 (2006).
- 4) S. Mine et al. : J. Mol. Biol., 381, 670 (2008).
- 5) S. Mine et al. : Acta Crystallogr. Sect. F, 63, 7 (2007).
- 6) H. Tsuji et al. : FEBS J., 277, 2683 (2010).
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Page. 704 - 705
(published date : 2012年10月1日)
概要原稿
リファレンス
イノシトールとは,シクロヘキサンの各炭素上の水素原子が一つずつヒドロキシ基に置き換わった構造をもつシクリトールの総称で,ヒドロキシ基の立体配座の違いによって9種の異性体が存在する.
自然界に存在するほとんどのイノシトールはミオ-イノシトール(図1のMI)である.ミオ-イノシトールはビタミンBの一種と考えられ,脂肪肝や高脂血症の治療に用いられる場合もあるが,生体内である程度は生合成されること,またさまざまな食品中にも広く含有されることから欠乏症の発生はまれである.工業的には植物種子のリン酸貯蔵物質であるフィチン酸のリン酸を切り出す方法で生産され,米ぬかなどを原料として安価に供給される.
- 1) J. Larner : Int. J. Exp. Diabetes Res., 3, 47 (2002).
- 2) J. McLaurin, M. E. Kierstead, M. E. Brown, C. A. Hawkes, M. H. Lambermon, A. L. Phinney, A. A. Darabie, J. E. Cousins, J. E. French, M. F. Lan, F. Chen, S. S. Wong, H. T. Mount, P. E. Fraser, D. Westaway & P. St. George-Hyslop : Nat. Med., 12, 80 (2006).
- 3) K. Yoshida, M. Yamaguchi, T. Morinaga, M. Kinehara, M. Ikeuchi, H. Ashida & Y. Fujita : J. Bio.l Chem., 283, 10415 (2008).
- 4) K. Yoshida, M. Yamaguchi, T. Morinaga, M. Ikeuchi, M. Kinehara & H. Ashida : Appl. Environ. Microbiol., 72, 1310 (2006).
- 5) T. Morinaga, H. Ashida & K. Yoshida : Microbiology, 156, 1538 (2010).
- 6) M. Yamaoka, S. Osawa, T. Morinaga, S. Takenaka & K. Yoshida : Microb. Cell Fact., 10, 69 (2011).
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Page. 706 - 707
(published date : 2012年10月1日)
概要原稿
リファレンス
ブドウはさまざまな国で広く栽培されており,生産量が多い果物の一つである.ブドウ果実の果皮色はさまざまであるが,大きく黄緑色品種(いわゆる“白ブドウ”),赤色および黒色品種(いわゆる“赤ブドウ”)に分類される.日本では,主に生食用としてブドウが栽培されているため,果実の外観は非常に重要視される.新品種の育種では,果皮色に着目した選抜を行うことも多い.世界では主にワインの原料としてブドウが栽培されている.赤色および黒色品種からは赤ワインが,黄緑色品種からは白ワインが醸造されている.赤ワインを醸造するときに,果皮色はそのままワインの色に直結するため,ブドウの着色不良はワイン醸造において大きな問題となる.これらの背景から,ブドウ果実の色,すなわち“果皮色”に関する研究は,新品種の育成・選抜,栽培方法の改善,ワイン醸造などさまざまな方面から注目を集めている.
- 1) S. Kobayashi, N. Goto-Yamamoto & H. Hirochika : Science, 304, 982 (2004).
- 2) M. Shimazaki, K. Fujita, H. Kobayashi & S. Suzuki : PLoS ONE, 6, e21308 (2011).
- 3) K. R. Luehrsen & V. Walbot : Nucl. Acids Res., 20, 5181 (1992).
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Page. 708 - 709
(published date : 2012年10月1日)
概要原稿
リファレンス
生物はさまざまな環境ストレスと対峙しながら生活を営んでいる.そのなかでも栄養飢餓はすべての生物にとって最も原始的なストレスであると言える.外界の栄養が枯渇すると,細胞は遺伝子発現を変化させ困難な時期を乗り切ろうとするが,新たなタンパク質合成に必要な栄養源が外部から得られないという矛盾が生じる.しかし,真核生物は自らの細胞成分を分解し,再利用するオートファジーと呼ばれる機能を備えており,栄養飢餓下で必要なエネルギー生産やタンパク質合成を維持している.たとえば,出芽酵母のオートファジー不能株は胞子形成(栄養飢餓が引き金となって起こる)できず,オートファジー欠損マウスは母体からの栄養が絶たれる出生直後に早期に死に至ることが知られる.さらに,近年オートファジーが細胞毒性を示す基質(異常タンパク質,感染した細菌,傷害をもつオルガネラなど)や過剰なオルガネラの選択的な除去などの多様な生命現象にかかわっていることが明らかになりつつある(1).
- 1) N. Mizushima & M. Komatsu : Cell, 147, 728 (2011).
- 2) 新谷尚弘:蛋白質核酸酵素,51, 1480 (2006).
- 3) M. Yuga, K. Gomi, D. J. Klionsky & T. Shintani : J. Biol. Chem., 286, 13704 (2011).
- 4) T. Shintani & D. J. Klionsky : J. Biol. Chem., 279, 29889 (2004).
- 5) T. Shintani, W.-P. Huang, P. E. Stromhaug & D. J. Klionsky : Dev. Cell, 3, 825 (2002).
- 6) H. Hirayama, J. Seino, T. Kitajima, Y. Jigami & T. Suzuki : J. Biol. Chem., 285, 12390 (2010).
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解説
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Page. 710 - 716
(published date : 2012年10月1日)
概要原稿
リファレンス
肥満や脂質代謝改善を目的として食品成分の機能性を調べる研究において動物試験は必須である.最近の多くの研究では,肝臓での脂質代謝関連タンパク質のmRNA発現量や酵素活性を測定し,代謝変動の機構を推定している.しかし,これらのパラメータの変動は必ずしも実際の代謝と一致しない.さらに,多くの動物試験において屠殺時に実施される絶食や,食品成分摂取により摂食量が変化する場合に摂取エネルギー量を一致させるために施されるPair-feedingは,脂質代謝に極めて重大な影響を与えるため,誤った結論を導く可能性がある.少なくとも研究者はこれらの点に十分配慮し,研究をすすめることが肝要である.
- 1) K. Suzuki, T. Shimizu & T. Nakata : Bioorg. Med. Chem. Lett., 8, 2133 (1998).
- 2) R. Konno, K. Suzuki & K. Hassegawa : Ann. Inst. Nutr. Sci. Kagawa Nutr. Univ., 8, 45 (2000).
- 3) I. Ikeda, R. Konno, T. Shimizu, T. Ide, N. Takahashi, T. Kawada, K. Nagao, N. Inoue, T. Yanagita, T. Hamada, Y. Morinaga, H. Tomoyori, K. Imaizumi & K. Suzuki : Biochim. Biophys. Acta, 1760, 800 (2006).
- 4) S. Tamaru, Y. Suzuki, M. Sakono, N. Fukuda, I. Ikeda, R. Konno, T. Shimizu & K. Suzuki : J. Nutr. Sci. Vitaminol., 52, 127 (2006).
- 5) T. Yoshikawa, T. Ide, H. Shimano, N. Yahagi, M. Amemiya-Kudo, T. Matsuzaka, S. Yatoh, T. Kitamine, H. Okazaki, Y. Tamura, M. Sekiya, A. Takahashi, A.H. Hasty, R. Sato, H. Sone, J. Osuga, S. Ishibashi & N. Yamada : Mol. Endocrinol., 17, 1240 (2003).
- 6) M. Yoon : Pharmacol. Res., 60, 151 (2009).
- 7) D. -J. Shin & T. F. Osborne : J. Biol. Chem., 283, 15089 (2008).
- 8) S. B. Biddinger, J. T. Haas, B. B. Yu, O. Bezy, E. Jing, W. Zhang, T. G. Unterman, M. C. Carey & C. R. Hahn : Nature Med., 14, 778 (2008).
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Page. 717 - 722
(published date : 2012年10月1日)
概要原稿
リファレンス
好塩基球は,末梢血白血球のわずか0.5%を占めるに過ぎない極少細胞集団であるが,進化的に多くの動物種で保存されており,その存在も古くから知られている顆粒球の一種である.しかし,アレルギーの原因細胞として注目されてきたマスト細胞と特徴が多く共通しているため,好塩基球はマスト細胞のバックアップ的存在であると考えられ,長い間ほとんど研究の対象とされることはなかった.ところが近年,好塩基球を解析するツールが次々と開発され,これまで知られていなかった好塩基球のユニークな働きが次々と明らかにされた.まさに,好塩基球研究のルネサンス時代の到来といってもよい.今では好塩基球は,マスト細胞とは全く異なる固有の機能を有した,慢性・即時性アレルギー,および,寄生虫感染にも重要な役割を果たす,Th2型反応のキープレーヤーとして認知される存在である.
- 1) S. J. Galli : Curr. Opin. Hematol., 7, 32 (2000).
- 2) R. A. Seder et al. : Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 88, 2835 (1991).
- 3) J. T. Schroeder et al. : Adv. Immunol., 77, 93 (2001).
- 4) H. B. Richerson et al. : J. Exp. Med., 132, 546 (1970).
- 5) S. I. Katz : J. Invest. Dermatol., 71, 70 (1978).
- 6) K. Mukai et al. : Immunity, 23, 191 (2005).
- 7) T. Wada et al. : J. Clin. Invest., 120, 2867 (2010).
- 8) H. Yamagishi et al. : Biochem. Biophys. Res. Commun., 415, 709 (2011).
- 9) T. Ugajin et al. : J. Leukoc. Biol., 86, 1417 (2009).
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- 11) K. Obata et al. : Blood, 110, 913 (2007).
- 12) P. Vadas et al. : N. Engl. J. Med., 358, 28 (2008).
- 13) T. Koshino et al. : Clin. Exp. Allergy, 23, 919 (1993).
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- 15) A. J. Macfalane et al. : J. Allergy Clin. Immunol., 105, 99 (2000).
- 16) O. Iliopoulos et al. : J. Immunol., 148, 2223 (1992).
- 17) R. Bascom et al. : J. Allergy Clin. Immunol., 81, 580 (1988).
- 18) Y. Haenuki et al. : J. Allergy Clin. Immunol., in press.
- 19) D. A. Hill et al. : Nat. Med., 18, 538 (2012).
- 20) F. H. Falcone et al. : Trends Parasitol., 17, 126 (2001).
- 21) D. Voehringer : Trends Parasitol., 25, 551 (2009).
- 22) S. K. Wikel : Annu. Rev. Entomol., 41, 1 (1996).
- 23) S. K. Wikel : Infect. Immun., 65, 335 (1997).
- 24) S. J. Brown et al. : J. Immunol., 129, 790 (1982).
- 25) H. Matsuda et al. : J. Immunol., 144, 259 (1990).
- 26) L. Juhlin et al. : Lancet, 309, 1233 (1977).
- 27) D. Voehringer et al. : J. Exp. Med., 203, 1435 (2006).
- 28) B. M. Sullivan et al. : Nature Immunol., 12, 527 (2011).
- 29) D. Voehringer et al. : BMC Biotechnol., 9, 69 (2009).
- 30) S. Kim et al. : J. Immunol., 184, 1143 (2010).
- 31) T. Yoshimoto et al. : Int. Immunol., 22, 543 (2010).
- 32) C. Ohnmacht et al. : Immunity, 33, 364 (2010).
- 33) C. Ohnmacht et al. : J. Immunol., 184, 344 (2010).
- 34) M. C. Siracusa et al. : Nature, 477, 229 (2011).
- 35) C. S. Lantz et al. : Nature, 392, 90 (1998).
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Page. 723 - 729
(published date : 2012年10月1日)
概要原稿
リファレンス
清酒は,世界の醸造酒の中で最もアルコール度数の高い飲料の一つであり,長年育まれてきた高い醸造技術によりその製造が可能となった.特に,清酒中のエタノールやさまざまな香味成分を生産する「清酒酵母」については,先人たちがより旨い清酒をより効率的に造るために多くの試行錯誤を繰り返した結果,現在のような優れた醸造特性を有する菌株群にたどり着いたのだろうと推測される.では,この清酒酵母を清酒酵母たらしめる原因とは一体何であろうか? 近年行われた清酒酵母のゲノム解析およびトランスクリプトーム解析の結果を活用することにより,清酒酵母の特長を生み出すメカニズムが遺伝子レベルで徐々に明らかになってきたので,現在までに得られた知見について紹介する.
- 1) 清酒酵母・麹研究会:“清酒酵母の研究―90年代の研究―”,財団法人日本醸造協会,2003.
- 2) I. Schaaff, J. Heinisch & F. K. Zimmermann : Yeast, 5, 285 (1989).
- 3) D. Watanabe, H. Wu, C. Noguchi, Y. Zhou, T. Akao & H. Shimoi : Appl. Environ. Microbiol., 77, 934 (2011).
- 4) A. Boorsma, B. C. Foat, D. Vis, F. Klis & H. J. Bussemaker : Nucleic Acids Res., 33 (Web Server issue), W592 (2005).
- 5) M. T. Martínez-Pastor, G. Marchler, C. Schüller, A. Marchler-Bauer, H. Ruis & F. Estruch : EMBO J., 15, 2227 (1996).
- 6) A. P. Gasch, P. T. Spellman, C. M. Kao, O. Carmel-Harel, M. B. Eisen, G. Storz, D. Botstein & P. O. Brown : Mol. Biol. Cell, 11, 4241 (2000).
- 7) H. Urbanczyk, C. Noguchi, H. Wu, D. Watanabe, T. Akao, H. Takagi & H. Shimoi : J. Biosci. Bioeng., 112, 44 (2011).
- 8) T. Akao, I. Yashiro, A. Hosoyama, H. Kitagaki, H. Horikawa, D. Watanabe, R. Akada, Y. Ando, S. Harashima, T. Inoue, Y. Inoue et al. : DNA Res., 18, 423 (2011).
- 9) M. Watanabe, K. Tamura, J. P. Magbanua, K. Takano, K. Kitamoto, H. Kitagaki, T. Akao & H. Shimoi : J. Biosci. Bioeng., 104, 163 (2007).
- 10) M. Watanabe, D. Watanabe, T. Akao & H. Shimoi : J. Biosci. Bioeng., 107, 516 (2009).
- 11) D. Watanabe, Y. Araki, Y. Zhou, N. Maeya, T. Akao & H. Shimoi : Appl. Environ. Microbiol., 78, 4008 (2012).
- 12) C. Noguchi, D. Watanabe, Y. Zhou, T. Akao & H. Shimoi : Appl. Environ. Microbiol., 78, 385 (2012).
- 13) M. Amorós & F. Estruch : Mol. Microbiol., 39, 1523 (2001).
- 14) E. W. Trotter, C. M. Kao, L. Berenfeld, D. Botstein, G. A. Petsko & J. V. Gray : J. Biol. Chem., 277, 44817 (2002).
- 15) P. K. Sorger & H. R. Pelham : Cell, 54, 855 (1988).
- 16) N. Talarek, E. Cameroni, M. Jaquenoud, X. Luo, S. Bontron, S. Lippman, G. Devgan, M. Snyder, J. R. Broach & C. De Virgilio : Mol. Cell, 38, 345 (2010).
- 17) E. Cameroni, N. Hulo, J. Roosen, J. Winderickx & C. De Virgilio : Cell Cycle, 3, 462 (2004).
- 18) I. Pedruzzi, F. Dubouloz, E. Cameroni, V. Wanke, J. Roosen, J. Winderickx & C. De Virgilio : Mol. Cell, 12, 167 (2003).
- 19) 渡辺大輔,下飯 仁:バイオインダストリー,28, 42 (2011).
- 20) D. Watanabe, S. Nogami, Y. Ohya, Y. Kanno, Y. Zhou, T. Akao & H. Shimoi : J. Biosci. Bioeng., 112, 577 (2011).
- 21) 井内智美,周 延,渡辺大輔,赤尾 健,高木博史,下飯 仁:“第63回日本生物工学会講演要旨集”,2011, p. 65.
- 22) H. Orozco, E. Matallana & A. Aranda : Appl. Environ. Microbiol., 78, 2748 (2012).
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Page. 730 - 741
(published date : 2012年10月1日)
概要原稿
リファレンス
21世紀最初の10年は,環境微生物学・微生物生態学における第二の革命期であったと言えるだろう.言うまでもなく,それは次世代シークエンサーの登場とそれを活用した環境ゲノム解析技術の驚くべき発展によるものである.1990年代の16S rRNA遺伝子に基づいた培養に依存しない複合微生物系解析技術の誕生による第一の革命期から,大規模シークエンシング技術による環境ゲノム科学の時代を経て,今後期待される第三の革命は何であろうか.筆者らは,環境微生物の分離培養技術の革新がそれにあたるのではないか,と考えている.本稿では,環境ゲノム解析の現状を概観しつつ,この大規模シークエンス解析時代の中で少しずつ光の見えてきた未知微生物探索の現状と課題について述べる.
- 1) C. S. Pareek, R. Smoczynski & A. Tretyn : J. Appl. Genet., 52, 413 (2011).
- 2) M. L. Sogin et al. : Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 103, 12115 (2006).
- 3) C. Simon, R. Daniel : Appl. Environ. Microbiol., 77, 1153 (2011).
- 4) B. J. Baker et al. : Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 107, 8806 (2010).
- 5) H. Garcia Martin et al. : Nat. Biotechnol., 24, 1263 (2006).
- 6) K. F. Ettwig et al. : Nature, 464, 543 (2010).
- 7) S. J. Hallam et al. : Science, 305, 1457 (2004).
- 8) Y. Shi, G. W. Tyson & E. F. DeLong : Nature, 459, 266 (2009).
- 9) T. Ishoey, T. Woyke, R. Stepanauskas, M. Novotny & R. S. Lasken : Curr. Opin. Microbiol., 11, 198 (2008).
- 10) B. K. Swan et al. : Science, 333, 1296 (2011).
- 11) D. B. Rusch et al. : PLoS Biol., 5, e77 (2007).
- 12) J. Gans, M. Wolinsky & J. Dunbar : Science, 309, 1387 (2005).
- 13) P. Hugenholtz, B. M. Goebel & N. R. Pace : J. Bacteriol., 180, 4765 (1998).
- 14) H. Zhang et al. : Int. J. Syst. Evol. Microbiol., 53, 1155 (2003).
- 15) J. C. Cho, K. L. Vergin, R. M. Morris & S. J. Giovannoni : Environ. Microbiol., 6, 611 (2004).
- 16) E. F. DeLong : Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 89, 5685 (1992).
- 17) M. Konneke et al. : Nature, 437, 543 (2005).
- 18) M. Tourna et al. : Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 108, 8420 (2011).
- 19) R. Hatzenpichler et al. : Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 105, 2134 (2008).
- 20) C. Brochier-Armanet, B. Boussau, S. Gribaldo & P. Forterre : Nat. Rev. Microbiol., 6, 245 (2008).
- 21) O. Geissinger, D. P. Herlemann, E. Morschel, U. G. Maier & A. Brune : Appl. Environ. Microbiol., 75, 2831 (2009).
- 22) K. Mori, K. Yamaguchi, Y. Sakiyama, T. Urabe & K. Suzuki : Int. J. Syst. Evol. Microbiol., 59, 2894 (2009).
- 23) H. Tamaki et al. : Int. J. Syst. Evol. Microbiol., 61, 1442 (2011).
- 24) Y. Tanaka et al. : Microbes Environ., 26, 266 (2011).
- 25) S. Sakai et al. : Appl. Environ. Microbiol., 73, 4326 (2007).
- 26) S. Sakai et al. : Int. J. Syst. Evol. Microbiol., 58, 929 (2008).
- 27) S. Sakai et al. : Int. J. Syst. Evol. Microbiol., in press.
- 28) M. S. Rappe, S. A. Connon, K. L. Vergin & S. J. Giovannoni : Nature, 418, 630 (2002).
- 29) S. J. Giovannoni et al. : Science, 309, 1242 (2005).
- 30) S. J. Giovannoni et al. : Nature, 438, 82 (2005).
- 31) P. H. Janssen, P. S. Yates, B. E. Grinton, P. M. Taylor & M. Sait : Appl. Environ. Microbiol., 68, 2391 (2002).
- 32) S. J. Joseph, P. Hugenholtz, P. Sangwan, C. A. Osborne & P. H. Janssen : Appl. Environ. Microbiol., 69, 7210 (2003).
- 33) H. Tamaki et al. : Appl. Environ. Microbiol., 71, 2162 (2005).
- 34) H. Matsuzawa, Y. Tanaka, H. Tamaki, Y. Kamagata & K. Mori : Microbes Environ., 25, 302 (2010).
- 35) A. Pol et al. : Nature, 450, 874 (2007).
- 36) P. F. Dunfield et al. : Nature, 450, 879 (2007).
- 37) D. A. Bryant et al. : Science, 317, 523 (2007).
- 38) H. Tamaki, S. Hanada, Y. Sekiguchi, Y. Tanaka & Y. Kamagata : Environ. Microbiol., 11, 1827 (2009).
- 39) K. E. Davis, S. J. Joseph & P. H. Janssen : Appl. Environ. Microbiol., 71, 826 (2005).
- 40) B. S. Stevenson, S. A. Eichorst, J. T. Wertz, T. M. Schmidt & J. A. Breznak : Appl. Environ. Microbiol., 70, 4748 (2004).
- 41) K. Ueda et al. : Appl. Environ. Microbiol., 74, 4535 (2008).
- 42) W. C. Fuqua, S. C. Winans & E. P. Greenberg : J. Bacteriol., 176, 269 (1994).
- 43) G. V. Mukamolova, A. S. Kaprelyants, D. I. Young, M. Young & D. B. Kell : Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 95, 8916 (1998).
- 44) A. Bruns, H. Cypionka & J. Overmann : Appl. Environ. Microbiol., 68, 3978 (2002).
- 45) M. Ohno et al. : Int. J. Syst. Evol. Microbiol., 50(Pt 5), 1829 (2000).
- 46) Y. Tanaka et al. : Int. J. Syst. Evol. Microbiol., 54, 955 (2004).
- 47) A. D’Onofrio et al. : Chem. Biol., 17, 254 (2010).
- 48) D. Nichols et al. : Appl. Environ. Microbiol., 74, 4889 (2008).
- 49) S. S. Epstein : Nature, 457, 1083 (2009).
- 50) T. Kaeberlein, K. Lewis & S. S. Epstein : Science, 296, 1127 (2002).
- 51) B. C. Ferrari, S. J. Binnerup & M. Gillings : Appl. Environ. Microbiol., 71, 8714 (2005).
- 52) B. C. Ferrari, T. Winsley, M. Gillings & S. Binnerup : Nat. Protoc., 3, 1261 (2008).
- 53) Y. Aoi et al. : Appl. Environ. Microbiol., 75, 3826 (2009).
- 54) S. A. Connon & S. J. Giovannoni : Appl. Environ. Microbiol., 68, 3878 (2002).
- 55) K. Zengler et al. : Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 99, 15681 (2002).
- 56) K. Zengler et al. : Methods Enzymol., 397, 124 (2005).
- 57) C. J. Ingham et al. : Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 104, 18217 (2007).
- 58) D. Nichols et al. : Appl. Environ. Microbiol., 76, 2445 (2010).
- 59) M. V. Sizova et al. : Appl. Environ. Microbiol., 78, 194 (2012).
- 60) W. Liu, H. J. Kim, E. M. Lucchetta, W. Du & R. F. Ismagilov, Lab Chip, 9, 2153 (2009).
- 61) P. B. Pope et al. : Science, 333, 646 (2011).
- 62) L. Bomar, M. Maltz, S. Colston & J. Graf : Mbio, 2, e00012 (2011).
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セミナー室
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(published date : 2012年10月1日)
概要原稿
リファレンス
官能評価技術に対する誤解を招いていることがあるとすれば,それは,科学的根拠を示すための手法(手段)が同じであるのにもかかわらず,この技術が適用されている分野,領域があまりにも広いために,対象となる試料とパネル(評価する集団)が個々に設定されることで,適用される手法が同じであっても結果の読み方や結論への導き方が異なるという点にあるのではないだろうか.官能評価実験の結果の妥当性に対する判断には,刺激となる試料の物理的あるいは化学的特性はもちろんのこと,パネルの生理的あるいは心理的特性のどちらもがかかわる点,また,それらの結果の目安となる統計量への理解などから,官能評価を行う担当者がさまざまな知識を要する必要がある.しかしながら,国内では近年,産業界での利用が主となり,開発品の情報漏えいなどへの危惧から,実験の詳細はノウハウとして明らかにされることが少なくなり,この技術に対する理解不足が否めない状況にあると言える.本稿では,これから官能評価に取り組もうとする読者のために,食品や飲料の製品開発で実際に用いられている事例を紹介しながら,理解を深めることにつなげたい.
- 1) 日本官能評価学会編:“官能評価士テキスト”,建帛社,2009, pp. 85–100.
- 2) 日科技連官能評価セミナーテキスト (2007).
- 3) 國枝里美:アロマリサーチ,Vol. 1, 90 (2000).
- 4) 浦 昭二:品質管理,8, (1957).
- 5) A. Schindler et al. : J. Agric. Food Chem., 59, 12578 (2011).
- 6) 國枝里美:“第21回日科技連官能検査シンポジウム発表報文集”,1991, pp. 237–244.
- 7) 土屋隆裕:“社会教育調査ハンドブック”,文憲堂,2005, pp. 57–60.
- 8) 國枝里美:食品と技術,11 (2008).
- 9) 國枝里美他:“第17回研究発表会講演集”,2008, pp. 101–109.
- 10) 國枝里美:食品工業,Vol. 40, 57 (1997).
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(published date : 2012年10月1日)
概要原稿
リファレンス
福島原発由来の放射セシウム(以下Cs)は,福島県のみならず,東日本の広い範囲を汚染し,露地で栽培される多くの農作物の出荷が制限された.今春になってからも,山菜やキノコなど新たな品目での出荷制限や自粛が行われている.比較的低濃度の汚染地帯の水田・畑作では,土壌を耕起することによって放射性Csが土壌粘土鉱物に強く吸着され,移行係数が低下し,植物には容易には吸収されなくなる(本セミナー室・吉岡氏らの論文を参照).農地土壌においては,放射性Csが5,000 Bq/kg以下であれば,作物への放射性Cs吸収抑制のために耕起が推奨されている(1).しかし,森林や永年草地のように土壌が耕起されない条件,また露地条件にあるキノコ原木栽培では,土壌や原木の表層に沈着した放射性Csが容易に植物や菌類に吸収される.
- 1) 農林水産省:“農地土壌除染技術適用の考え方”,2011.
- 2) 文部科学省:“森林内における放射性物質の移行調査”,2011.
- 3) 吉田 聡・村松康行:日菌報,37, 25 (1996).
- 4) 齋藤雅典:化学と生物,42, 252 (2004).
- 5) M. C. Duff & M. L. Ramsey : J. Environ. Radioactivity, 99, 912 (2008).
- 6) M. Steiner, I. Linkov & S. Yoshida : J. Environ. Radioactivity, 58, 217 (2002).
- 7) 山田明義・松田陽介:日本きのこ学会誌,in press.
- 8) K. Haselwandter : Health Physics, 34, 713 (1978).
- 9) T. Ban-nai, S. Yoshida, Y. Muramatsu & A. Suzuki : J. Nucl. Radiochem. Sci., 6, 111 (2005).
- 10) J. Aqvist & V. Luzhkov : Nature, 404, 881 (2000).
- 11) 広井 勝他:菌学会56会大会講演要旨集,2012, p. 32.
- 12) H. Sugiyama et al. : J. Agric. Food Chem., 56, 9641 (2008).
- 13) 坂本一憲他:土肥誌,83, 216 (2012).
- 14) H. Dupré de Boulois et al. : Environ. Microbiol., 8, 1926 (2006).
- 15) E. J. Joner : Appl. Environ. Microbiol., 70, 6521 (2004).
- 16) H. Dupré de Boulois, B. Delvaux & S. Declerck : Environ. Poll., 134, 515 (2005).
- 17) V. Gyuricza, H. Dupré de Boulois & S. Declerck : J. Environ. Radioactivity, 101, 482 (2010).
- 18) R. D. Rogers & S. E. Williams : Soil Biol. Biochem., 18, 371 (1986).
- 19) K. Rosén, Z. Weiliang & A. Mårtensson : Sci. Total Environ., 338, 283 (2005).
- 20) M. Berreck & K. Haselwandter : Mycorrhiza, 10, 275 (2001).
- 21) 山口紀子他:農業環境技術研究所報告,31, 75 (2012).
- 22) 根田 仁他:農業及び土壌の放射能汚染対策技術国際研究シンポジウム講演要旨集,2012, p. 30.
- 23) K. Rosén et al. : J. Environ. Radioactivity, 102, 178 (2011).
- 24) 林野庁:“きのこ原木及び菌床用培地の当面の指標値の改正について”, 2012.
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(published date : 2012年10月1日)
概要原稿
リファレンス
2011年(平成23年)の3月11日に東北太平洋沖に発生した大地震は大津波をもたらし,多くの方々が被災し,幾多の人命が奪われた.また,大津波による東京電力福島第一原子力発電所の電源喪失は放射性物質の大量放出をもたらし,周辺地域のみならず,東日本の広い範囲で大きな被害を受けた.この東日本大震災は,沿岸地域の水産業および関連産業にも壊滅的な損害を与えるとともに,放出された放射性物質は沿岸の魚介類のみならず,内水面の水生生物をも汚染し,この面でも水産業に大きな被害をもたらした.この原子力発電所の事故によって放出された放射性核種のなかで,放射性ヨウ素の131Iおよび133Iのように,半減期がそれぞれ8.06日および20.8時間と短い放射性核種では短期的な影響で済むものの,放射性セシウムの134Csおよび137Csでは半減期がそれぞれ2.06年および30.1年と長く,長期的に大きな影響をもたらすことが危惧されている.
- 1) 独立行政法人水産総合研究センター:“水生生物における放射性物質の挙動について.調査結果概要”,2012.
- 2) 渡邊朝生,藤本 賢:“放射性物質影響解明調査事業報告書”,独立行政法人水産総合研究センター,2012, pp. 13–16
- 3) 渡邊朝生,藤本 賢:“放射性物質影響解明調査事業報告書”,独立行政法人水産総合研究センター,2012, pp. 17–18.
- 4) D. J. Madigan, Z. Baumannb & N. S. Fisher : Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 109, 9483 (2012).
- 5) 佐伯誠道,岡野真治,森高次郎:日水誌,20, 902 (1955).
- 6) 渡部終五,松岡洋子,中谷操子,潮 秀樹,根本芳春,佐藤美智男,田野井慶太朗,中西友子:RADIOISOTOPES, in press.
- 7) 藤本 賢,重信裕弥,渡邊朝生:“放射性物質影響解明調査事業報告書”,独立行政法人水産総合研究センター,2012, pp. 19–121.
- 8) 佐伯誠道:日水誌,23, 729 (1958).
- 9) F. Furukawa, S. Watanabe & T. Kaneko : Fish. Sci., doi: 10.1007/s12562-012-0492-6 (2012).
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「化学と生物」文書館
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(published date : 2012年10月1日)
概要原稿
リファレンス
21世紀は生命科学の時代と言われる.20世紀には物理学と化学の基本原理が明らかにされ,それに基づき分子のレベルで生命体を研究できるようになり,多くの発見が期待できるからである.20世紀後半の生命科学の発展初期に遭遇した私は,胸をときめかして研究生活を過ごした.しかし,「女は賄をやっとれ」とか「女でしゃばるな」という考えの方々が学界運営の中心におられた時代であったため,女性が自由に研究できるような雰囲気はなく,学界は男社会であった.このような時代に,好奇心に引っ張られて,逆風を気にせずに試行錯誤を繰り返して漂流した.それらの研究の一部が定説を偶然書き換えることになった.ここではその経緯をたどってみる.
- 1) T. Mitsui & Y. Kitamura (surname changed from Kitamura to Sasaki) : Microchemical J., 7, 160 (1963).
- 2) 橋爪 斌,佐々木幸子:蛋白質 核酸 酵素,13, 735 (1968).
- 3) H. Goto, Y. Sasaki & T. Kamikubo : Biochim. Biophys. Acta, 517, 195 (1978).
- 4) Y. Sasaki, M. Ishiye, T. Sakihama & T. Kamikubo : J. Biol. Chem., 256, 2315 (1981).
- 5) Y. Sasaki, T. Sakihama, T. Kamikubo & K. Shinozaki : Eur. J. Biochem., 133, 617 (1983).
- 6) J. R. Bedbrook, S. M. Smith & R. J. Ellis : Nature, 287, 692 (1980).
- 7) K. Shinozaki et al. : EMBO J., 5, 2043 (1986).
- 8) K. Ohyama et al. : Nature, 322, 572 (1986).
- 9) J. Hiratsuka et al. : Mol. Gen. Genet., 217, 185 (1989).
- 10) S. J. Li & J. E. Cronan, Jr. : J. Biol. Chem., 267, 16841 (1992).
- 11) S. J. Li & J. E. Cronan, Jr. : Plant Mol. Biol., 20, 759 (1992).
- 12) Y. Sasaki, K. Hakamada, Y. Suama, Y. Nagano, I. Furusawa & R. Matsuno : J. Biol. Chem., 268, 25118 (1993).
- 13) T. Konishi & Y. Sasaki : Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 91, 3598 (1994).
- 14) 佐々木幸子:生化学,68, 335 (1996).
- 15) B. B. Buchanan : Annu. Rev. Plant Physiol., 31, 341 (1980).
- 16) Y. Sasaki, A. Kozaki & M. Hatano : Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 94, 11096 (1997).
- 17) Y. Sasaki & Y. Nagano : Biosci. Biotechnol. Biochem., 68, 1175 (2004).
- 18) B. B. Buchanan, W. Gruissem & R. L. Jones, eds. : “Biochemistry & Molecular Biology of Plants,” American Society of Plant Physiologists, Rockville, Maryland, 2000, p. 470.
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(published date : 2012年10月1日)
概要原稿
リファレンス
私の研究室(京大農学部食品化学研究室=現 生命科学研究科生体情報応答学研究室)で修士を終了した水上民夫氏は,長浜バイオ大学の教授に就任し,新規ながん遺伝子の発見や抗がん剤の開発を目指しています.現在,私は長浜バイオ大学の客員教授として,水上研究室のお助けマンをしています.最初(2008年より)はほんの老化防止のつもりでお引き受けしましたが,水上教授のヒト化酵母プロジェクトから発見された機能未知のヒト遺伝子はがん遺伝子である可能性が高くなっており,大いに張り切っています(1).また,彼が協和発酵時代に発見した化合物の作用機構(スプライシングの阻害)に関する研究成果はアメリカ化学会雑誌の表紙を飾りました(2) (図1).そんなことで,この年齢(74歳)まで緊張感(最近はストレス気味)をもって過ごすことができるのは幸運です.一月に1回だけ長浜に行き,意見交換をしていますが,そのほかはメールで十分です.また論文など最新の情報はインターネットですぐに入手できます.情報技術の発展が,この年寄りの活動を支えてくれており,そのつど大学の図書館にでも通って調べるような状態ならばとっくに断念していたと思います.いい時代に生きていることを感謝しています.
- 1) T. Kunoh et al. : Mol. Cancer Ther., 9, 2934 (2010).
- 2) M. Hasegawa et al. : ACS Chem. Biol., 6, 229 (2011).
- 3) H. Chiba et al. : Bull. Agric. Chem. Soc. Japan, 24, 428 (1960).
- 4) J. Monod et al. : J. Mol. Biol., 6, 306 (1963).
- 5) C. B. Anfinsen et al. : Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 47, 1309 (1961).
- 6) R. G. Roeder & W. J.Rutter : Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 65, 675 (1970).
- 7) R. Benesch & R. E. Benesch : Biochem. Biophys. Res. Commun., 26, 162 (1967).
- 8) A. Chanutin & R. R. Curnish : Arch. Biochem. Biophys., 121, 96 (1967).
- 9) 佐々木隆造,千葉英雄:蛋白質 核酸 酵素,28, 957 (1983).
- 10) I. Wilmut et al. : Nature, 385, 810 (1997).
- 11) S. Rapoport & J. Luebering : J. Biol. Chem., 183, 507 (1950);ibid., 189, 683 (1951);ibid., 196, 583 (1952).
- 12) R. Sasaki et al. : Eur. J. Biochem., 50, 581 (1975).
- 13) R. Rosa et al. : Biochimie, 57, 1059 (1975).
- 14) H. Chiba & R. Sasaki : “Current Topics in Cellular Regulation,” Vol. 14, Academic Press, 1978, p. 75.
- 15) R. Sasaki et al. : TIBS, 7, 140 (1982).
- 16) 千葉英雄:学士会会報,838, 148 (2003).
- 17) M. Lagouge et al. : Cell, 127, 1109 (2006).
- 18) D. Y. Oh et al. : Cell, 142, 687 (2010).
- 19) C. Canto & J. Auwerx : Nature, 477, 411 (2011).
- 20) H. Narita et al. : J. Biol. Chem., 255, 5230 (1980).
- 21) H. Narita et al. : J. Biol. Chem., 256, 7059 (1981).
- 22) S. Yanagawa et al. : J. Biol. Chem., 259, 2707 (1984).
- 23) R. Sasaki et al. : Methods Enzymol., 147, 328 (1987).
- 24) F. K. Lin et al. : Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 82, 7580 (1985).
- 25) K. Jacobs et al. : Nature, 312, 806 (1985).
- 26) M. Goto et al. : BIO/TECHNOLOGY, 6, 67 (1988).
- 27) E. Tsuda et al. : Eur. J. Biochem., 188, 405 (1990).
- 28) K. Yamaguchi et al. : J. Biol. Chem., 266, 20434 (1991).
- 29) S. Yanagawa et al. : Gene, 44, 185 (1986).
- 30) S. Masuda et al. : J. Biol. Chem., 268, 11208 (1993).
- 31) S. Masuda et al. : J. Biol. Chem., 269, 19488 (1994).
- 32) E. Morishita et al. : Neurosci., 76, 105 (1997).
- 33) M. Sakanaka et al. : Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 95, 4635 (1998).
- 34) E. Sadamoto et al. : Biochem. Biophys. Res. Commun., 253, 26 (1998).
- 35) M. Bernaudin et al. : J. Cereb. Blood Flow Metab., 19, 643 (1999).
- 36) R. Sasaki et al. : News in Physiol. Sci., 16, 110 (2001).
- 37) 佐々木隆造:“エリスロポエチンのすべて,”メディカルレビュー社,東京,2005, p. 207.
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記念シンポジウム
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(published date : 2012年10月1日)
概要原稿
リファレンス
ビタミンは,本来,動物が生合成できないもので,微量で代謝に必須な役割を果たす一群の化合物に対して与えられた総称である.微生物の多くは独自にビタミンを合成できるので,ビタミンの供給源としての利用がこれに求められた.これが,ビタミン類生産研究の原点といえる.さらに,増殖の速さや取り扱いの容易さは,微生物に利用価値の高い供給源としての位置を与えた.また,ビタミン類の生合成に関する研究も多くが微生物を素材として行われたこと,これらの研究を通してビタミン類の合成・変換に有用な多くの反応や酵素が見いだされたことも,今日,ビタミン類の生産で微生物学的手法が広く採用されている所以である.
- 1) 片桐英郎:“鈴木梅太郎先生伝”,(財)鈴木梅太郎博士顕彰会(編),朝倉書店,1967, p. 326.
- 2) (財)バイオインダストリー協会発酵と代謝研究会(編):“発酵ハンドブック”,共立出版,2001, p. 27, 161, 257, 267, 313, 325.
- 3) 櫻谷英治,安藤晃規,小川 順,清水昌:蛋白質 核酸 酵素,54, 725 (2009).
- 4) 清水 昌,森川忠則,新田一誠,坂本恵司,和田浩一:日本化学会誌(化学と工業化学),1, (2002).
- 5) S. Shimizu : “Biotechnology”, Vol. 10, G. Reed, H.-J. Rehm, VCH. Weinheim, 2001, p. 320.
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バイオサイエンススコープ
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(published date : 2012年10月1日)
概要原稿
リファレンス
植物工場というと若い方は「何?」と,年配の方は「また?」と思うのではないか.養液栽培に注目が集まったのが第1次ブーム(つくば科学博に伴って展示されたトマトの樹に象徴される),企業が完全密閉型の施設で商業栽培用の生産を始めたのが第2次ブーム,今回は第3次ブームと言われている.今回は,日本の工業,農業,商業の良さを合わせた「農商工連携」で新産業創出を目標に進んでいる点が過去と異なる.経済産業省と農林水産省がタッグを組んで,さまざまな事業を推進している.特に過去3年間に,全国に特色ある植物工場拠点が両省の予算で整備され,植物工場フォーラムや,植物工場に関する展示会なども開催され,機運が盛り上がっている.
- 1) 古在豊樹,大山克己:農業および園芸,83, 286 (2008).
- 2) 古在豊樹,大山克己:農業および園芸,83, 375 (2008).
- 3) 松村 健:科学と工業,84, 113 (2010).
- 4) 星 岳彦:農業機械學會,69, 8 (2007).
- 5) K. Omasa & K. Takayama : Plant Cell Physiol., 44, 1290 (2003).
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農芸化学@HighSchool
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Page. 776 - 777
(published date : 2012年10月1日)
概要原稿
リファレンス
本研究は,平成24 (2012) 年度日本農芸化学会大会(開催地・京都)での「ジュニア農芸化学会」において,“カルナバイオサイエンス賞”に選ばれた.果汁を含んだゼリー(ゼラチン)が固まらないことは有名であるが,発表者らは,これが果樹中のタンパク質分解酵素の働きによるものと考え,ゼラチンの凝固阻害活性を指標として果汁が含むタンパク質分解酵素の性質を調べた.得られた研究成果は,関連研究者にとっても示唆に富むものであり,高く評価された.
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