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(published date : 2021年9月1日)
ネコ科動物は,植物であるマタタビのにおいを嗅ぐと顔や頭を擦り付け,地面に転げ回る,通称マタタビ踊りと呼ばれる行動を示す.この特異な生物現象の行動意義は発見から300年以上も未解明であったが,筆者らは最近,天然物化学,動物行動学,神経薬理学,分析化学などの手法を用いて,マタタビ反応が蚊に対する化学防御の効果を有することを解明した.本稿では,マタタビから同定したネコに対する新たな活性物質とネコのマタタビ反応発動にかかわる神経メカニズム,またマタタビ反応の行動機能的意義について,筆者らの最近の研究成果を中心に解説する.