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注目記事

1分子シークエンサーの現状と可能性  /  谷口 正輝
加水分解酵素を用いる不斉合成反応の新展開  /  赤井 周司
異分野との融合
シアノバクテリアの補色順化における光色感知機構  /  広瀬 侑, 池内 昌彦
フラボノイド「ルテオリン」による生活習慣病予防・改善作用の分子機構  /  井上 順, 佐藤 隆一郎

化学と生物 Vol.54 (2016) No.6

全文PDF :
英文要旨および目次PDF :

巻頭言

研究と組織の健康寿命  /  河田 照雄

Page. 371 - 371 (published date : 2016年5月20日)
冒頭文
リファレンス
筆者は「脂肪細胞」と長年かかわってきた.はじめは肥満したラットの体脂肪量を計ることであった.ある時,脂肪細胞の写真を取ろうと,体脂肪を酵素で処理し細胞を分散させ,顕微鏡で見てみた.なんと,宇宙空間に浮かぶ惑星のような細胞が見えるではないか.その日から私は脂肪細胞に魅了された.体脂肪に対する世の中の反応とは対照的である.時により変容するその姿は,人々を大いに悩ませ,困惑させる.しかし,筆者は愛おしく思う極めて希な一人である.

今日の話題

魚介類不可食部に含まれるコンドロイチン硫酸  /  田村 純一

Page. 372 - 374 (published date : 2016年5月20日)
概要原稿
リファレンス
コンドロイチン硫酸の資源動物を求めて,種々の魚介類やその不可食部を分析した結果,コンドロイチン硫酸の含有量や硫酸化パターンに特徴が見られた.魚介類残渣はコンドロイチン硫酸の有望な代替資源になるかもしれない.
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シグレックとムチン糖鎖の相互作用を介した炎症抑制機構  /  加藤 紀彦

Page. 375 - 376 (published date : 2016年5月20日)
概要原稿
リファレンス
免疫応答には多くの糖鎖?糖鎖結合タンパク質の相互作用が関与している.好酸球に発現するSiglecのリガンド探索の結果,ムチンが同定された.この発見によって糖鎖による好酸球炎症の制御の一端が明らかとなった.
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食物アレルギーの新展開  /  岡﨑 史子, 成田 宏史

Page. 377 - 378 (published date : 2016年5月20日)
概要原稿
リファレンス
同じ食べ物に対するアレルギーでもアレルゲンが違えば症状も対応も異なるし,同じアレルゲンでも感作経路により発症か寛容かが異なる.実は謎だらけの現代病である食物アレルギーの最近の話題を紹介する.
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コレステロールの腸管吸収機構とその制御  /  小林 彰子

Page. 379 - 381 (published date : 2016年5月20日)
概要原稿
リファレンス
2004年, 小腸に発現するコレステロールトランスポーター(NPC1L1)が発見された.本稿ではその発見の経緯と輸送特性,およびわれわれが見いだした食品成分による抑制作用について紹介する.
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細胞概日時計の人為的制御  /  今西 未来

Page. 382 - 383 (published date : 2016年5月20日)
概要原稿
リファレンス
体内時計を人工的に制御することは,そのメカニズムの解明やリズム治療の実現に向けた新しい方法になると期待される.本稿では,細胞の概日時計機構の操作に関して,人工タンパク質を用いた試みを中心に紹介する.
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加水分解酵素を用いる不斉合成反応の新展開  /  赤井 周司

Page. 384 - 386 (published date : 2016年5月20日)
概要原稿
リファレンス
加水分解酵素と金属触媒との併用によって,それぞれ単独では為し得ない変換が可能になる.ラセミ体アルコールの動的光学分割法を例に,生体触媒と異分野技術との融合が新しい不斉合成の概念を創製することを紹介したい.
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解説

グリセロホスホジエステラーゼの分子進化から生理的役割の新たな展開  /  大嶋 紀安, 中村 美奈子, 矢中 規之

Page. 387 - 395 (published date : 2016年5月20日)
概要原稿
リファレンス
細菌におけるグリセロホスホジエステラーゼは,グリセロリン脂質の二つの脂肪酸が切断された水溶性代謝物であるグリセロホスホジエステルを分解することでグリセロール3-リン酸を獲得し,リンや炭素の栄養源としての利用において重要な役割を担う.一方,酵母,植物,線虫,哺乳動物においてもグリセロホスホジエステラーゼが同定されたが,哺乳動物においてはグリセロホスホジエステル以外の基質も発見され,多彩な生理的役割が明らかにされている.グリセロホスホジエステラーゼの酵素タンパク質としての分子進化上の特徴,さらに哺乳動物における生理機能の新展開について紹介する.
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1分子シークエンサーの現状と可能性  /  谷口 正輝

Page. 396 - 402 (published date : 2016年5月20日)
概要原稿
リファレンス
電流を用いる1分子シークエンサーは究極のシークエンサーと期待されている.この1分子シークエンサーは,1分子の電気抵抗の違いを電流で直接読み出すため,色素修飾や酵素反応を必要としない.現在,DNAとRNAの塩基配列決定と,ペプチドの部分アミノ酸配列決定に加え,エピジェネティック修飾や翻訳後修飾の1分子識別が実現されている.さらに,これまでのDNAシークエンサーにはない特徴的な機能として,配列決定と同時に,その配列をもつ生体分子の存在比がわかる定量解析の可能性が示されている.本稿では,1~3世代目のシークエンサーと比較しながら,4世代目となる1分子シークエンサーの現状と可能性について解説する.
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シアノバクテリアの補色順化における光色感知機構  /  広瀬 侑, 池内 昌彦

Page. 403 - 407 (published date : 2016年5月20日)
概要原稿
リファレンス
酸素発生型の光合成を行う原核生物であるシアノバクテリアは,周囲の緑色と赤色の光のバランスを感知して光合成アンテナの組成を調節する.補色順化と呼ばれるこの現象は光合成機能の光質による調節の代表例として知られていたが,光色感知機構の実態は長らく不明であった.われわれは補色順化を制御するフィトクロム様光受容体の同定と解析に成功し,色素のプロトン脱着を介した新奇の緑・赤色光感知機構の存在を明らかにした.
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AtCAST  /  筧 雄介, 嶋田 幸久

Page. 408 - 415 (published date : 2016年5月20日)
概要原稿
リファレンス
本稿では進歩し続けているトランスクリプトーム解析を取り巻く現状と,関連する解析ツールについて紹介する.なかでも,モデル植物のシロイヌナズナのトランスクリプトーム解析用にわれわれが最近開発しウェブ上で提供しているAtCAST(http://atpbsmd.yokohama-cu.ac.jp/)について詳しく解説する.近年ではトランスクリプトームデータ同士や各種オミクスデータなどを合わせてさらに解析するなど,発展型トランスクリプトーム解析ツールの開発が盛んである.AtCASTはこのような発展型トランスクリプトーム解析ツールの一つであり,基本的な統計解析に引き続いてGOE解析やMCN解析といったトランスクリプトームデータの解釈を助ける解析をまとめて行うツールである.
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セミナー室

フラボノイド「ルテオリン」による生活習慣病予防・改善作用の分子機構  /  井上 順, 佐藤 隆一郎

Page. 416 - 421 (published date : 2016年5月20日)
概要原稿
リファレンス
本稿ではフラボノイドに分類されるルテオリンを取り上げ,これまでに知られている代謝改善作用に加えて,その分子レベルでの作用機構について概説する.
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RNAseqから明らかになった昆虫の色素合成と色覚の新知見  /  二橋 美瑞子, 二橋 亮

Page. 422 - 428 (published date : 2016年5月20日)
概要原稿
リファレンス
次世代シークエンサーの普及に伴い,非モデル生物の遺伝子解析が急速に普及してきた.カイコとトンボの複眼の研究から明らかになった昆虫の色素合成と色覚に関する新知見について紹介する.
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FTのホスファチジルコリン結合能と光周性花成の促進  /  中村 友輝

Page. 429 - 434 (published date : 2016年5月20日)
概要原稿
リファレンス
本稿では,筆者らが最近明らかにしたタンパク質?脂質相互作用に立脚した花成制御の新たなメカニズムを例にしつつ,植物の生長や発生における脂質の新たな機能的側面について議論する.
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バイオサイエンススコープ

現地に赴く国際交流を通じた大学&研究者の貢献と交流について  /  森永 力

Page. 435 - 438 (published date : 2016年5月20日)
概要原稿
リファレンス
海外での仕事の始まりは,大学の海外学術調査隊に参加してからである.その後,どのようにして国際交流の仕事とかかわってきたかを記した.国際交流の発展は,ヒトとヒトとの交流が始まりであり,お互いの信頼を構築していくことである.
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生物コーナー

鞭毛・繊毛運動を担うモータータンパク質ダイニンの多様性  /  八木 俊樹

Page. 439 - 444 (published date : 2016年5月20日)
概要原稿
リファレンス
鞭毛・繊毛には多種類の微小管モータータンパク質・ダイニンが存在する.緑藻クラミドモナスには16種類のダイニン重鎖遺伝子が存在するが,単一の生物としては初めて,その全遺伝子産物を同定した.その過程で,鞭毛の根本にのみ局在し存在量が微量のダイニンを新たに見いだした.
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書評

大豆蛋白質2 ダイズのポストゲノミクス  /  阿部 啓子

Page. 445 - 445 (published date : 2016年5月20日)
概要原稿
リファレンス
大豆は優れた脂質を多量に含むことから,長年,油糧種子の代表的存在とされていた.一方,大豆は良質のタンパク質にも富む.前世紀後半,栄養上必須のアミノ酸のパターンが国連の機関によって発表されると,大豆タンパク質は乳・卵・食肉に匹敵する栄養面をもつことがわかり,大豆は油糧種子と呼ばれるよりもタンパク質源と呼ばれることが多くなった.

付録

和文誌編集委員  / 

Page. 0 - 0 (published date : 2016年5月20日)
概要原稿
リファレンス