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(published date : 2015年1月20日)
私たちの体は約60兆個もの細胞から構成されており,それぞれが役割に応じた振る舞いをとるからこそ健康に生きることができる.外から眺めるだけではよくわからないが,毎日莫大な数の細胞が体内から取り除かれて新しい細胞へと置き替わっている.その数は一日に500億から700億個とも言われる.取り除かれるのは,発生の過程で役割を終えた細胞,寿命を迎え機能を失った細胞,何らかの障害などにより協調性を失った細胞,微生物に感染した細胞などであり,こういった“変性した自己細胞”を除去する仕組みが,アポトーシスに依存した貪食除去反応である.アポトーシスとは細胞死の形態の一つで,偶発的な細胞死であるネクローシスとは異なる特徴を示し,マクロファージなどの食活性をもつ細胞(食細胞と言う)によって特異的に貪食される.本稿では,まずアポトーシス細胞の貪食機構の概要を述べ,次に発生や生体恒常性維持,および生体防御への役割を紹介する.