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注目記事

抗体医薬開発の新潮流  /  塩田 明
ベストインクラス抗体医薬の創薬と求められるマウスモデルの関係
食品成分による脳老化改善・認知症予防の可能性  /  久恒 辰博
コメの生産性を規定するアンモニウム同化系酵素の新規な役割  /  大橋 美和, 小島 創一, 早川 俊彦
イネにおける窒素代謝に依存した分げつの生長制御
バクテリアにおけるアシル化修飾タンパク質の網羅的解析  /  古園 さおり
アシローム解析から見えてきたこと

化学と生物 Vol.54 (2016) No.12

全文PDF :
英文要旨および目次PDF :

巻頭言

微生物研究の未来は?  /  土屋 英子

Page. 863 - 863 (published date : 2016年11月20日)
冒頭文
リファレンス
この夏のオリンピックでは,日本人アスリートの活躍に一喜一憂された方々が多かったことと思う.スポーツの記録は毎年更新されていく.もちろん訓練方法などの進化もこれを支えているのだろうが,ヒトの身体能力はどこまで伸ばせるものなのだろう,新たな進化はあるのだろうか.

今日の話題

抗体医薬開発の新潮流  /  塩田 明

Page. 864 - 866 (published date : 2016年11月20日)
概要原稿
リファレンス
抗体医薬が臨床で成功した要因は,臨床効果に直結する標的を見いだし,その抗体の臨床開発をいち早く実施したことにある.抗体医薬開発には大きな先行者利益が伴っていた.しかし,技術的進歩により抗体?薬物複合体や二重特異性抗体などの新しい抗体医薬が顕在化し,さまざまな免疫チェックポイント阻害抗体医薬の開発が進められている.抗体医薬は動物実験によるインビボ評価が実施されていなかったが,筆者らが開発した抗体医薬の標的抗原とFcγ受容体ファミリーの両方をヒト化したマウス(「ヒト抗原マウス」)を利用することにより,ベストインクラス抗体医薬の創薬,または既存抗体医薬の新規適用の探索に大きなメリットを得ることができる.
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コメの生産性を規定するアンモニウム同化系酵素の新規な役割  /  大橋 美和, 小島 創一, 早川 俊彦

Page. 867 - 868 (published date : 2016年11月20日)
概要原稿
リファレンス
イネにおいて,穂が実る分げつは,腋芽から生長する.地上部基部の維管束組織のサイトゾル型グルタミン合成酵素1;2の欠損は,代謝撹乱とリグニン蓄積阻害を介した腋芽の伸長阻害を引き起こした.
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植物病原菌の“狡猾さ”を酵母で解く  /  藤原 祥子, 田淵 光昭

Page. 869 - 870 (published date : 2016年11月20日)
概要原稿
リファレンス
病原性細菌は,エフェクターと呼ばれる病原因子を宿主細胞中に注入し,宿主細胞機能を撹乱することで感染を成立させている.われわれは,宿主グルタチオンを分解する新規な機能をもったエフェクターを酵母発現系により見いだした.
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バクテリアにおけるアシル化修飾タンパク質の網羅的解析  /  古園 さおり

Page. 871 - 872 (published date : 2016年11月20日)
概要原稿
リファレンス
近年の質量分析をベースとしたプロテオミクス技術の発展により,バクテリアのタンパク質もさまざまな翻訳後修飾を受けていることが明らかとなってきた.生物に普遍的な翻訳後修飾として知られるようになったタンパク質アシル化修飾について概説する.
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解説

次世代シークエンスデータベースの活用法最前線  /  仲里 猛留, 坊農 秀雅

Page. 873 - 877 (published date : 2016年11月20日)
概要原稿
リファレンス
次世代シークエンサー(NGS: next generation sequencer)の活躍によって,さまざまな生命科学の謎が解き明かされている.マイクロアレイ同様,NGSから得られるデータも公共データベースに収めることが論文投稿の条件となってきており,そのデータ量は約3.2ペタバイトにもなっている(ペタは10の15乗).これまでよく用いられてきたBLASTなどの配列類似性による検索手段ではもはや歯がたたず,それぞれのデータの付帯情報であるメタデータをたよりに必要な情報を探し出すことになる.膨大なNGSのデータベースから効率よくデータを取り出し,自らの研究に活用する方策を紹介する.
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細菌におけるリボソームレスキュー機構  /  姫野 俵太, 栗田 大輔

Page. 878 - 884 (published date : 2016年11月20日)
概要原稿
リファレンス
リボソーム上のタンパク質合成は開始コドンに始まり,遺伝情報に基づいたペプチド伸長サイクルの繰り返しを経て終止コドンで終了する.翻訳の終了にあたっては,ペプチド解離因子(RF1またはRF2)が合成されたポリペプチドをtRNAから切り離す.しかしながら,さまざまな原因により(場合によっては計画的に)タンパク質合成を途中で中断せざるをえない状況に追い込まれることがある.たとえば,mRNAが翻訳中に切断を受けて3′側を失うと,リボソームは終止コドンに出会うことなしにmRNAの3′末端に到達してしまう.この場合,ペプチドの解離が行われないため,リボソームはそこで立ち往生することになる.こうした状況を解消すべく,細胞はリボソームレスキュー機構(翻訳停滞解消機構)を備えている.細菌のリボソームレスキュー機構として最初に見つかったのはtmRNAとSmpBによるトランストランスレーションである.ほぼすべての細菌はトランストランスレーション機構を必ずもっているが,それ以外にも2つのリボソームレスキュー機構が存在することが明らかになってきた.本稿では,これら3種類を中心に細菌のリボソームレスキュー機構について概説する(図1).
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ヘテロ多糖の輸送にかかわる細菌由来超分子の構造基盤  /  橋本 渉, 丸山 如江, 伊藤 貴文, 髙瀬 隆一, 村田 幸作

Page. 885 - 891 (published date : 2016年11月20日)
概要原稿
リファレンス
近年,循環型社会の構築のため,海洋バイオマスの利活用が重要な課題の一つとなっている.特に,褐藻類の主要な成分であるヘテロ多糖アルギン酸は有望なバイオマスとして期待されている.そのため,アルギン酸資化性細菌を中心に,その分解酵素の研究が盛んに行われているが,細胞内取り込み系はよくわかっていない.菌体外に分解酵素を分泌する多くのアルギン酸資化性細菌とは異なり,Sphingomonas属細菌A1株はアルギン酸を「超分子」を介して高分子のまま取り込み資化する.最近,「超分子」の主要な構成要素であるABCトランスポーターの立体構造が決定され,その構造的特徴から高分子の輸送を可能にする仕組みがわかってきた.本稿では,多糖アルギン酸の取り込みに機能する結合タンパク質と輸送体およびアルギン酸代謝酵素を中心に,それらの構造基盤について紹介する.
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食品成分による脳老化改善・認知症予防の可能性  /  久恒 辰博

Page. 892 - 900 (published date : 2016年11月20日)
概要原稿
リファレンス
高齢者の健康寿命を延伸する高機能食品成分の開発に対する期待が一段と高まっている.先進諸国では高齢社会のさらなる進展により糖尿病や高血圧などの生活習慣病の増加に加え,認知症を罹患する高齢者が急増し大きな社会問題となっている.欧米諸国では,食事や食品成分を活用した認知症の予防や進行防止に関する研究が幅広く展開され,多価不飽和脂肪酸(DHAなど)やビタミン類など,複数の高機能食品成分を取り入れた認知症患者に対する栄養療法が始まった.また,認知症予防に適した食事習慣を知るために高齢者を対象とした大規模な疫学研究が実施され,日常的な食生活の改善で認知症発症リスクを低減する食生活習慣の提案が行われている.筆者らは,わが国の高齢者に特有の食生活習慣を考慮に入れて,食品成分による脳老化改善・認知症予防の可能性を探る研究を進めている.食志向の変化により年とともに肉類食品の摂取量が減る傾向にあるため,肉類食品に広くかつ多く含まれ抗酸化・抗炎症作用を有する食品成分であるイミダゾールジペプチドに着目し研究を実施した.筆者らが行った研究から,高齢者において摂取量が減少するイミダゾールジペプチドを顆粒状の食品を介して補うことにより,加齢により低下する記憶機能を改善できることがわかった.モデルマウスを用いた研究から,イミダゾールジペプチドは,認知症予防に対しても効果を有することが期待された.本稿では,高機能性食品成分を用いた認知症予防の可能性について,現状およびその展望を紹介する.
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消化管ムチンを介した微生物と宿主の相互作用  /  芦田 久

Page. 901 - 908 (published date : 2016年11月20日)
概要原稿
リファレンス
消化管上皮細胞から分泌されるムチンは,消化管における微生物の感染防御,あるいは共生に重要な働きをもつことが知られている.ムチンは,コアタンパク質にO結合型糖鎖が高密度に付加した高分子の粘性糖タンパク質である.難分解性であり,基本的には消化管上皮を保護する機能をもつ生体防御物質であるが,腸内の共生細菌に栄養分と棲息環境を提供する共生因子でもある.ムチンのヘテロ糖鎖を利用するためのビフィズス菌のユニークな代謝経路の解明を中心に,ヘテロ糖鎖がかかわる消化管内の微生物と宿主の相互作用について,最近の研究の進展を基に解説する.
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セミナー室

miRNAを介した新しい食品機能の発現機構  /  細野 崇, 増澤(尾﨑) 依, 関 泰一郎

Page. 909 - 914 (published date : 2016年11月20日)
概要原稿
リファレンス
マイクロRNA(miRNA)と呼ばれる22塩基前後の一本鎖RNA分子が遺伝子の転写後の発現制御における重要な調節因子として認知されるようになった.miRNAを介した新しい食品機能の発現機構について概説する.
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遺伝子組換えカイコが開くシルク利用の最前線  /  小島 桂

Page. 915 - 919 (published date : 2016年11月20日)
概要原稿
リファレンス
カイコの遺伝子組換え技術を用いることで,カイコが作るシルクの中にさまざまな外来タンパク質を発現させることが可能となった.新たな力学物性や機能性を付与した新しいシルクを作り出す取り組みを紹介する.
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バイオサイエンススコープ

次世代施設園芸について  /  綱澤 幹夫

Page. 920 - 923 (published date : 2016年11月20日)
概要原稿
リファレンス
次世代施設園芸は,先進地のオランダに学ぶべきところは学びながら,わが国の気象条件などに合わせてアレンジすることにより,施設園芸の生産性を一段高めたものである.次世代施設園芸の導入から現在に至る取り組みを紹介する.
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学界の動き

大学院連合農学研究科の30年の歩み  /  船田 良

Page. 924 - 928 (published date : 2016年11月20日)
概要原稿
リファレンス
連合農学研究科は,異なる複数の大学が教育研究に対して平等に参加することを基本とし,お互いに連携協力して運営する初めての大学院(博士課程)である.連合農学研究科の30年の歩みを振り返るとともに,農学の発展や教育研究の向上に果たした役割について紹介する.
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農芸化学@HighSchool

アブラナ科植物とその食害昆虫をめぐる化学生態  /  田部 瑞貴, 中井 星奈, 中川 実香

Page. 929 - 931 (published date : 2016年11月20日)
概要原稿
リファレンス
本研究は,日本農芸化学会2016年度(平成28年度)大会(開催地:札幌コンベンションセンター)「ジュニア農芸化学会2016」で発表されたものである.アブラナ科植物がグルコシノレートならびにその代謝産物であるイソチオシアネートを多く含有することに着目し,植物を摂取するモンシロチョウ幼虫と外敵アオムシコマユバチの関係までを考察した,たいへん興味深い研究であった.

付録

和文誌編集委員  / 

Page. 0 - 0 (published date : 2016年11月20日)
概要原稿
リファレンス