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(published date : 2016年12月20日)
腸内フローラがわれわれの健康・疾患に関係していることが多くの人々に理解されるようになってきた.そこにはヒトを中心とした腸内フローラの生態学的な解析と無菌動物をベースに種々の腸内細菌を定着させた動物モデルでの生理学的な解析が大きな貢献をしてきた.後者の研究においては20世紀半ばに開発された無菌ラットやマウスが重要な役割を担い,無菌動物と通常動物には特に消化管粘膜の細胞の構成とその性質に大きな違いがあることが明らかになった.本稿ではマウスの腸粘膜の免疫応答に重大な影響を与えることが解明されたセグメント細菌(SFB)に焦点をあて,本菌の生態学的な特徴と種々の免疫形質の誘導について腸内フローラ全体での位置づけ,他の腸内菌との関係を含めて紹介する.